「時をかける少女」の監督やスタッフが制作した新作ということで話題になり、
その後の評判もすこぶるよかったアニメ。実際、非常にいいデキだった。
夏休みにちょっとバイトで、ということで行くことになった田舎の大家族だが、
その家でのいざこざと、「OZ(オズ)」と呼ばれる仮想空間とがリンクしていく。
「OZ」とはある意味でmixiのような存在であり、
多数の人間が個人ごとのアカウントを持っているネット上の空間。
また、ある意味でGoogleのようにメールや地図など様々な面で
生活に深く入り込んだデータベースでもあり、
人々はOZを通じてOZ上の情報をやり取りできる。
このあたりは難しく言えば「ユビキタス社会」の具体像だし、
別作品で例えれば「電脳コイル」の世界観にも似ている。
で、OZのアカウントを持っている人は
アバターとしてその中でのキャラクターを用意され、
個性的な見た目のキャラクターがユーザーの代わりにOZの中で行動する。
逆に言えばアバターの言動はそのアカウントの持ち主の言動となる。
この辺の設定は話だけ聞くと非常に難しそうに思えるが
実際の作品中ではとにかくスムーズに説明され、
実世界の登場人物たちの行動を楽しみながら
すんなりと理解していける。
主人公の少年が魅力的なのもあって感情移入も必至。
場面場面で主役となる人物がうまく移り変わりながら
とにかく興奮し続けられる120分だった。
全体的にテンポが非常に良く、こちらが理解できるギリギリのところで
どんどんと話が展開していくため、とにかく目が離せず夢中で楽しめた。
小難しくなってしまったジブリ作品に比べ、
こちらは誰もが(といってもネット世界が理解できる必要はあるが)楽しめ、
アニメでしか作れないノリと世界観を完成させている。強くオススメ。
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