レビューブログ【レブログ!】

映画、アニメ、ドラマ、マンガ、書籍、英語読書の感想(ネタバレなし)が6000件以上!


働く君に伝えたい「お金」の教養

ライフネット生命保険の代表取締役会長 兼 CEOが
20代の人向けにお金に対するを考え方を解説したもの。


年金・税金・収入・投資などのお金に関わる問題に加え、
仕事や選挙など社会人として理解しておく事柄についても
出口氏なりの価値観を説明していく。


インタビュアーが出口氏に質問する形式で解説が進むが、
質問内容に関しては若い人が疑問や不安に思っていることばかりなので
自分の置かれた状況を客観的に理解するのに役立つ内容だろう。
本書の意見に同意するかどうかは本人次第だが、
違った視点から見た意見として参考になるところも多いはず。


経済の基礎知識を身に付けたい人には
合わせて「未成年のうちに聞きたかったお金の話」も薦めたい。

ベーシックインカムの時代が始まる

すべての国民に生活費を支給するベーシックインカムの制度について
その効果や影響、実現性をまとめたもの。


序盤は労働が世の中にどう影響しているかを説明し、
労働者の存在が生産と消費に変化を与えることが理解できる。
ベーシックインカムを主題にしているものの、
世の中の経済全体に関する解説になっており、
マクロ経済学を垣間見ることができる。


ベーシックインカムに興味があって読み始めてみたが、
全体的にかなり丁寧に書かれており、
経済そのものに関してじっくり読んでいく1冊。

マンガでわかる微分積分

数学が苦手な人向けに微分積分を解説したもの。


「微分積分」という言葉は知っていても
それがどういう計算で何に使うのかを理解している人は少ない。
そういった人向けに噛み砕いた説明で
段階的に理解できるよう進めていく。


「マンガでわかる」というタイトルがついているものの、
本書に載っているのはマンガではなく挿絵だ。
とはいえ、数学を解説するなら
マンガよりも文章の方が効率的でよい。


いきなり微分というものから説明するのではなく、
グラフの傾きや極限などから始め、
それぞれを非常にわかりやすく紹介していく。
段階を細かく分割し、コンパクトに解説していく内容は
久しぶりに数学を学ぶ上でも非常にわかりやすかった。


授業の説明を聞いてもあやふやな高校生や
微分積分の意味を再学習をしたい社会人向け。

孫社長にたたきこまれた すごい「数値化」仕事術

ソフトバンクグループを率いる孫正義のもとで発揮された
問題を数値化して解決するやり方を解説したもの。

データをうまく切り分けて、問題がどこにあるのか、
効果を上げるには何から取り掛かるべきかを見抜く手法を
さまざまな事例を通して紹介していく。

やり方そのものは単純ながら問題発見までの早さに優れ、
効果的な改善ができる強い説得力を感じる。
また、いろいろな分析方法が紹介されており、
それを通して課題が浮き出てくる様子が面白い。
後半には業務戦略やビジネスで成功するための視点なども語られている。

管理側の立場でなくても課題発見やデータ分析の意識は必要なはずで、
そういった視点を身に付けるために有益な本。
ビジネスマンとしてより成長するため考え方が詰まっている。

【関連作品のレビュー】
孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきた すごいPDCA

投資なんか、おやめなさい

世の中でいろいろと取り上げられる投資術について
どういう点に問題があるかを説明した本。


保険や投資信託、不動産から個人年金まで
一般の人が関わる可能性のある資産運用について
それぞれの注意点・問題点を指摘していく。


基本的にはなんにでも否定的に書かれているが、
気を付けなければいけない点としては納得できる部分も多く、
得をしようとして損をしてしまわないために
1度読んでおくと適度な警戒心がつくだろう。


ただ、問題のない金融商品やサービスもあるため、
本書で否定された運用法がすべてダメという理屈は乱暴だ。
銀行でなくネット証券を使ったり、
手数料が非常に安いものを選んだりすることは十分に可能で、
投資をしない理由に本書の理屈を使うのはやめた方がいいだろう。


投資を行う上で気を付けなければいけないポイントだけを
この本からうまく吸収し、役立てていくのが正しい読み方だ。

知らないではすまされない自衛隊の本当の実力

自衛隊の置かれている状況や役割を紹介したもの。

装備や兵器の簡単な紹介や活動内容に加え、
自衛隊の歴史なども解説していく。
わかりやすく非常に読みやすい内容だが、
イラストやインタビュー形式の部分はページの消耗が激しく、
もう少しうまくまとめて欲しかったところ。

自衛隊に関する基本的な知識を
短時間でざっと知るには便利な1冊。

マネーハザード金言集

投資や資産形成についての短編コラムをまとめたもの。

外側の表紙を外すと、
まったく同じ2冊の本に分離するという特殊な造りになっており、
1冊を知り合いにプレゼントすることができる斬新な仕様。

いろいろな雑誌に掲載されたコラムを抜粋して集めた形になっているが、
2007年付近の経済状況をもとに
資産形成に関してズバッとした切り口の意見が読める。
白黒印刷のためにグラフの各要素が読み取れないのは非常に不便だが、
海外の状況と比較した日本の経済事情がよくわかる。

コラムごとにボリュームや口調がバラバラだったり
同じような内容が重複していたりと寄せ集めた感は否めないが、
とりあえず一読しておくと資産に対する視野が広がるだろう。

マジメだけどおもしろいセキュリティ講義

インターネット上のセキュリティについて
問題点や対策法の変化などを解説したもの。

サイバー攻撃やクラッキングの被害が報道されることがあるが、
そういった事件の裏側が垣間見えて面白い。
理解するにはプログラミングや情報処理の知識が必要だが、
プログラムの穴を突く仕組みなどが
具体的なコードとともに紹介されているのは新鮮。

うまく抜け穴を利用する攻撃側の発想は興味深いし、
それに合わせて対策側も進化してきたことがわかる。
後半になるにつれてやや退屈に感じてしまうが、
ネットワークの安全が
どのように維持されているかを知ることができる本。

言ってはいけない 残酷すぎる真実

データで示された事実でありながら
倫理的な問題や世間体から
表立って言いにくいことをまとめたもの。

「知能の低さは子供に遺伝する」
「男性の方が犯罪を犯しやすい」
「一夫多妻と一夫一妻はどちらが得か」など
差別や偏見につながりそうな内容ながら
これまでの実験データとして示されたことを挙げていく。
単に実験の結果を提示するだけでなく、
生物学や経済学の観点からその行動原理を予測する流れは面白い。

本書を読んだからといって
子育てや生き方を投げやりに考える必要はないが、
ひとつの知識として知っておくと参考になるだろう。

自閉症の僕が跳びはねる理由

自閉症に苦しむ13歳の少年が
筆談によって自身の症状や心情を解説したもの。

「なぜ大きな声を出すのか」「なぜ耳をふさぐのか」
「なぜつないだ手を振り払うのか」などのQ&Aが
1ページ前後で完結する形でたくさん収められており、
理性が働いていないように思える言動が
実はさまざまな思いと
事情によるものだということがよくわかる。

今まで怪訝な目で見ていた障害者の言動も
その理由がわかるだけでずいぶん受け入れられるようになる。
ウロウロと動き回ったり
奇声を上げたりするといった特徴的な行動理由が
障害者本人の解説されている貴重な手記。

【関連作品のレビュー】
僕が跳びはねる理由(ドキュメンタリー)

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