なぜかとある1日の記憶がなく、
身の覚えのない日焼けをしていた女性の
そこに至るまでの背景を描いたもの。
序盤はごく普通の恋愛ものに見えるが、
実は後半に向けての壮大な前振りになっているのが秀逸。
中盤以降は異なる視点で物語の裏側が語られるが、
いろいろな違和感が伏線となってつながり、
非常に美しい純愛ものに仕上がっていく構成が見事。
特に美人でもないヒロインだが
その天真爛漫な振る舞いにどんどん感情移入してしまい、
話が進むほどにかわいく見えてくるのが不思議。
映像表現やコミカルな演出も完成度が高く、
2人の主人公の微笑ましい様子や不思議な世界観がとにかく心地いい。
先に観たリメイク版の日本映画も良作だと思ったが、
いざオリジナル版と比べてみると
人物設定や登場人物の行動は本作の方が遥かに自然。
唯一リメイク版で評価できるのは花火の使い方ぐらい。
ラブシーンと呼べる場面はほとんどないのに
深くて純粋な愛情に浸れるファンタジーの傑作。
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1秒先の彼(2023年公開日本映画)