SNSが流行し、個人個人の発信が容易になった現代において、
自己啓発に意欲的で、人脈開拓やセルフブランディングに
精を出す若者たちを揶揄した本。
就活関連の話題から始まり、積極的に自分磨きをし、
それをアピールする「意識高い系」の若者に関して説明する序盤は
「こういうヤツいるいる」と思えて面白いのだが、
1章、2章の間ずっとそういった批判が書かれるので次第にウンザリしてくる。
もう少し細かい分析やアドバイスなどを含むのかと期待していたが、
あまりにしつこく「痛い」「バカ」などと批判が続くものだから、
途中で、これは1冊まるまる使って嘲笑している本なのだ、と気づいた。
イベント主催や人脈構築にとどまらず、読書までも
カッコいい自分を演出するためにやっている、と言われてしまうと
ほとんどの人が当てはまってしまうし、
そういった若者がよりよくなるような意見を出さないのであれば
がんばってる人をひたすらバカにするだけの本でしかない。
第4章に関してはある雑誌の経緯をひたすら紹介しただけで
中身がスカスカすぎて読む価値が全然なかった。
結論の役目をするはずの第5章ではわざわざグラフや表を持ち出したのに
母数や調査対象者がハッキリしないデータだったり、
ひどく適当な分析や雑な考察だったりして、
作者の意見が正しいとはとても信じられなかった。
いちいち「意識高い系(笑)」と文中で煽った割に
生産的な意見を何も出さないのは卑怯だし、
それこそネットで見る中身のない悪口と変わらない。
「若気の至り」という言葉もあるわけで、
いろいろな行動をやっていくうちに徐々に自分の痛々しさや浅はかさを知り、
結果的に大きく成長していくことが良い生き方だと言えるし、
この本を読んで「下手に自己アピールすると嘲笑されるから」と
消極的になる方が問題だ。