歳をとってからも家を買わずに
賃貸住宅に住み続けるプランを提案した本。
マイホームを持つことが正解かのような風潮や、
どうせなら家賃よりもローンを支払う方が資産が残る、というような考えが
本当に正しいのかを説明し、問題提起している。
かなり賃貸側に偏った書き方になっているが
損得の面でもリスクの面でも非常に納得できる説明で、
賃貸住宅を自由に移り住んでいくという生き方が悪くないことがわかる。
家賃はただ金が失われるだけ、という意見が多いが、
持家を買ったとしても金利や建て替え費用、資産価値の下落など
意外にも無駄な出費となる部分が多いのに衝撃。
残念なのは家族構成に合わせたシミュレーション結果を紹介する第5章で、
自分に当てはまらない部分はほとんど参考にならないのに
60ページ以上も消費している点だ。
それまでの解説が興味深く、参考になっただけに
本書後半の情報密度の低さがもったいない。
すでにローンを組んで住宅を購入した人が読むと
不安が増すばかりなのでオススメしないが、
「家を買ったら一人前」のような考えに共感できず、
賃貸住宅のままでもいいかもと思っている人には背中を押してくれる内容。