どうしようもないほどにヘタクソなテニス部の少女が
突如として選手に選ばれ、コーチにしごかれながら成長していくスポ根マンガ。
1973年から連載されていたとてもとても古い作品。
これがめちゃくちゃに面白い。
もっと古臭い話で絵柄も受けつけないかと思ったが全然そんなことはなく、
「ガラスの仮面」の美内すずえや
「ベルサイユのばら」の池田理代子の雰囲気。名作。
主人公がとにかく努力をし、粘り強い忍耐力で上達していく。
いわば当時の「スラムダンク」と言っていいだろう。
これを読んでテニスを始めた女子が大勢いたと思われる。
それほどに夢中にさせてくれる作品。
この手の話にありがちな、性格が悪くて陰湿な登場人物が少なく、
基本的に全員が前向きで、
持てる力を全力でぶつけ合う展開が読んでいて気持ちいい。
裏表のないスカッとした性格の男性キャラに憧れる。
自分には素質がないと挫折しかける主人公に
「誰が最初からよい球を打てる。
誰が完璧な素質など持っている。
誰もが恵まれた長所を伸ばし、
短所を努力で補って試合にのぞんでいるんだ。
二度と素質などという言葉を口にするな」
と言い放つ宗方コーチがカッコよすぎる。
このほかにも人生の教訓となるようなセリフが多くあり、
いちいち感動させられる。とにかく無駄のない展開で没入感が強い。
文庫本第7巻で主人公に訪れる強烈な転機での
周りの登場人物の支える姿は特に素晴らしい。
すべて読み終えた上で名作と言える。
とても30年以上前に始まったマンガと思えない。古臭さもない。
全体的にテンポもよく、試合中ですらガンガン進む。
得点の数え方すらボンヤリとしかわからない私だが、
熱気だけは遜色なく伝わってくる。
つまらない先入観を持たず、まず読んでみるべき。強くオススメ。
【関連作品のレビュー】
エースをねらえ!(1973年版テレビアニメ)
新・エースをねらえ!(1978年版テレビアニメ)