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ティンカー・ベル

「ピーター・パン」に登場する妖精が主人公となったCGアニメで、
ティンカー・ベルが妖精となる瞬間から
自分の居場所を見つけていくまでの話。

グラフィックが綺麗なのは言うまでもなく、
もはやあえて「CGアニメ」と区別する必要がないほど自然に見れる。

ただストーリー部分はどうにも感情移入しにくく、
主人公のティンカー・ベルは自分の憧れや欲求を満たしたいために
やるべき仕事を投げ出し、周囲の妖精に多大な迷惑をかける。
それでいてそれを反省する様子もなく、
結局は自己中心的な行動のまま、一応の解決をもってラストを迎える。

妖精だからといって完璧な性格である必要はないが、
少なくとも感情移入できる程度には
秩序を持ったキャラクターでいて欲しい。
自分のわがままが原因で引き起こした重大な事故なのに
さも自分の力でみんなを助けてあげよう、と言わんばかりの雰囲気で
解決策を呼び掛ける場面などはまさに閉口する。

周りの妖精はほとんどが非常に善人で、
ティンカー・ベルに対してかなり配慮してくれているが、
それが逆に気の毒に思えるほどティンカー・ベルの言動はひどい。

また、妖精たちは基本的に肉体労働というか、
全員が製造業を担っているような設定になっており、
女王をトップとする完全な縦社会である。
一見、華やかに自然と交わっているように見えるが、
よく考えるとただ働くことに楽しみを求めるのは空しい姿にも映る。

クライマックスではまさに産業革命のような大きな変化が起きるが、
それによって妖精たちの世界は自然な雰囲気から遠のく形になるはずで、
これか果たしてより良い方向に進むことになるかが疑問なだけに怖い。
どうにも全体的に人間社会を模したような設定・展開が多いのが気になる。

キャラクターや世界観で言えば子供向きなのだろうが、
主人公の性格や話の内容からすると、
大人にも子供にもあまり楽しめない気がする。
期待していただけにどうにもスッキリしない作品で残念だった。

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