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「数」はいかに世界を変えたか

「数」はいかに世界を変えたか ビジュアルガイド もっと知りたい数学

「数」はいかに世界を変えたか ビジュアルガイド もっと知りたい数学

現代のさまざまなところで役立っている数学が
どういった経緯で進化してきたのかをまとめたもの。


数学の理屈を解説したものではなく、
数学に関する進化の歴史を振り返る内容で、
読み解くのに必要な知識は
せいぜい中学数学程度といったところ。


素数から円周率、黄金比やフィボナッチ数列など
数学関係の有名どころが抑えられているので
それぞれの意味や仕組みを再認識できる。


大判な上に全ページがカラーという贅沢な造りだが、
本自体がかなり重いので扱いづらいのは残念。


数学によほどの拒絶感がない限り、
いろいろな雑学を学べる読み物として楽しめるだろう。

寄付をしてみよう、と思ったら読む本

寄付をしてみよう、と思ったら読む本

寄付をしてみよう、と思ったら読む本

日本人にとって馴染みの薄い寄付について、
その意義や効果などを説明したもの。


大半の人は生活に余裕があるわけでも
お金が余っているわけでもないので
他人に無償で金銭を提供する行為に大きな抵抗を感じるが、
そういった寄付の意義を知らない人のための入門書。


寄付によってどういう効果が生まれるかがわかりやすく説明されており、
自分で消費するよりもNPO団体に託す方が
金銭の有益性が高いことが理解できる。


初心者向けということもあって内容は薄めだが、
究極の自己満足とも言われる寄付について1から学べる本。

FACTFULNESS(ファクトフルネス)

世界の現状について、思い込みや印象ではなく
データをもとに正しい見方をすることを推奨した本。


洋書を翻訳したこのタイプの分厚いビジネス書は
非常に読みづらくて苦労することが多いが、
本書は圧倒的に読みやすく、スラスラと理解していける。
ビジネス書でこんなに楽しい読み心地の本も珍しい。


例えを用いた解説が抜群にわかりやすく、
世界の貧困、人口、医療、教育などの問題に関して
自分の持つイメージが間違っていることが
ズバズバと言い当てられてむしろ気持ちいい。
知っていると思い込んでいた情報がどんどん更新され、
新しい発見がいくつも手に入る。知見が広がる。


しかし本書のテーマはそういった最近の世界事情を知ることではなく、
事実を正しく見抜く感性を身につけることだ。
同じ事柄を扱っておきながら、少し見方を変えるだけで
一気に印象が変わるということがよくわかる。
それほど世間の人たちはイメージに左右されやすいのだ。


世界に対するいろいろな情報を更新できるとともに
物事を見る感覚のあやふやさが自覚できる1冊。
世の中のことを知っているつもりの人にぜひ読んで欲しい良書。


mclover.hateblo.jp

いらない保険 生命保険会社が知られたくない「本当の話」

多くの人が加入している医療保険や生命保険について、
その必要性・有益性が低いことを解説したもの。


家族を持ったり年齢を重ねると民間保険に入ることが当たり前で
それこそが1人前という印象があるが、
健康保険を中心とする社会保障制度がカバーする範囲や
実際に個人が負担する金額を考えると
実はほとんどの人にとって必要ないことがよくわかる。


イメージや感情的なものを除外し、
それぞれの理屈が数値データに基づいた
客観的な視点によるものなのも説得力がある。


介護保険や貯蓄型保険についても言及されており、
不安を煽って入会を迫る保険会社の販売戦略に対して
冷静な判断ができるようになる1冊。

ブランドSTORY

ブランドSTORY

ブランドSTORY

  • 作者:関野 吉記
  • 出版社/メーカー: プレジデント社
  • 発売日: 2018/11/02
  • メディア: Kindle版

価値ある企業になるために
いかにブランド化が大切かを解説したもの。


1冊まるまるブランディングの大切さについて書かれており、
顧客にも社員にも認めてもらえるブランド力があれば
熾烈な競争にも勝ち残っていけるという理屈。


企業ブランドの重要性については共感するばかりだが、
概念的な話が続くばかりで
どうやってブランド力を上げていくかという
肝心な部分があまり書かれていないのが残念。


筆者の経営するコンサルティング会社に誘導したいのかもしれないが、
もう少し具体的な施策を書いて欲しかった。

目からウロコが落ちる奇跡の経済教室<基礎知識編>

目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】 (ワニの本)

目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】 (ワニの本)

  • 作者:中野剛志
  • 出版社/メーカー: ベストセラーズ
  • 発売日: 2019/05/22
  • メディア: Kindle版

日本のデフレがなぜ解消されないのかを
マクロ経済の観点から解説したもの。


数十年もデフレが続き、
給与が上がらず、物価も安いままの日本において、
さまざまな対策がなぜうまくいかないのかが
とても論理的に説明されている。


経済に関して詳しくない人にもうまく説明されており、
企業・銀行・政府の間でどのように金が行き来し、
どういう事柄が何に影響するのかが非常にわかりやすい。


政治家が叫ぶデフレ対策がうまくいかない理由や
よく見かける誤った世論に関して鋭く指摘しており、
なんとなくの印象で考えていた間違ったイメージが正されていく。


どの主張にも強い説得力と論理性があり、
言われてみれば当然だ、と納得ができる理屈ばかり。
「目からウロコが落ちる」というキャッチコピーの通り、
これまでの認識が変わる瞬間が何回も訪れるのが気持ちいい。


客観的な広い視野で経済を見るセンスが養える1冊。

いちばんやさしい人工知能ビジネスの教本

AI関連を軸に、最近話題になっている事柄を紹介した本。


題材ごとに見開き2ページで説明しており、
テンポよくいろいろなことを予習することができるが、
広く浅い情報がひたすら羅列されているばかりなので
やや退屈な資料集といった印象。


ディープラーニングや自動運転、ドローンなど
最近よく聞く単語の意味をざっくりと知りたい人向け。

あるフィルムの背景 ミステリ短篇傑作選

13作品が収録された短編集。


収録作品
第1部
 ●惨事
 ●蝮の家
 ●孤独なカラス
 ●老後
 ●私に触らないで
 ●みにくいアヒル
 ●女の檻
 ●あるフィルムの背景
第2部
 ●絶対反対
 ●うまい話
 ●雪山讃歌
 ●葬式紳士
 ●温情判事


絶賛されている書評を目にするが、
全体的に評判ほど面白く思えなかった。


第1部に関しては長く引っ張る展開の割にオチが弱いし、
スッキリさせてくれるわけでもなくてストレスがたまる。


キャラクターは深く描かれているが
ひたすら不幸に見舞われた筋書きが続き、
後味の悪いままプツリと終わってしまう印象。


第2部はそれぞれの作品が短くなるので
テンポがよくなる分、ずいぶんマシに感じるが、
ショートショート程度のオチしか用意されていないのに
結末に持ち込むまでの前フリが長すぎるように思う。


どの作品も、ひとつしかない伏線を
いろいろな情報に紛れさせているに過ぎず、
これなら阿刀田高や星新一の方が高い満足度が得られる。

顔ニモマケズ どんな「見た目」でも幸せになれることを証明した9人の物語

顔に大きな特徴が出る病気を患った人たちが
どんな人生を歩んできたかをインタビューしたもの。


ひと目で普通と違う状態だとわかるせいで
いじめられたり敬遠されたりしながら
相当に辛い日々を過ごしてきたことがうかがえるが、
あるタイミングで達観し、
自分の境遇に折り合いをつけているのが素晴らしい。


誰しも悩みを抱えているだろうが、
思い切った行動力と潔い割り切り方で
困難を乗り越えてきた彼らの言葉に勇気が湧く。


こういう病気を持つ人を見かけても
安易に踏み込んだ質問をするのは難しいだけに、
病気の原因や症状、どんな生活をしているかを
いろいろと知ることができる貴重な1冊。

Slack ゆとりの法則

ゆとりの法則 - 誰も書かなかったプロジェクト管理の誤解

ゆとりの法則 - 誰も書かなかったプロジェクト管理の誤解

現代の企業における間違った効率化について
効果の薄さや原因を解説したもの。


どの企業も無駄を省いて効率化を推進しようとしているが、
そういった施策が実際にはうまくいかず、
むしろ逆効果になってしまうという解説が非常に面白い。


肉体労働のときにうまくいった効率化の手法が
頭脳労働に対してはうまくいかないという分析は斬新で、
どの企業でもよく見るトラブルの原因が氷解していく。


ただ、ページの大半が問題の分析に充てられており、
全体的に冗長気味な説明が続くばかりで
似たような話が延々と書かれているような印象を受ける。
成果に対して効果的な行動を取ろうというのがテーマの本なのに
本書の内容を読み取る際の効率が悪すぎる。


テーマや着眼点が非常に面白かっただけに
中だるみを感じるダラダラとした論理展開が残念だった。

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