夫を亡くした女性が彼の実家である地球へ
宇宙船で向かう道中を描いた話。
非常にクセのある作風のSF作品で、
作者が頭の中に構築した完璧な世界観を
各エピソードを通して読者が覗き見ていく構成。
そういう意味では「攻殻機動隊」と共通する部分を感じる。
主人公に焦点を当てたひとつの流れではなく、
その周辺を題材にした断片的なエピソードが展開されるため、
話があちこちに飛んだり説明不足な世界設定に
最初はかなり読みにくく感じる。
読み進めるうちに同じ世界観の上で表現された
独立したエピソードの集まりだということがわかってくると
垣間見える要素からその背景となる世界観を味わう
本作特有の楽しみ方が理解できるようになる。
物語の本筋にあまりこだわらず
作者の作り上げた近未来の世界観に浸りたい人向け。