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ウォッチメン

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スーパーマンやバットマンやスパイダーマンのようなヒーローたちが
アメリカ社会で活躍し、それがすでに一般化しているという設定。
ヒーローが出てくるが現代や未来の話ではなく、
数十年前の現実のアメリカが舞台となっている。

とにかく強烈な展開で素晴らしい完成度の映画。
とっつきは悪く、通好みな面があることは確かだが、
それだけで見逃すには惜しすぎる作品。衝撃的な内容。

タイトルである「ウォッチメン」とは「見張り」や「ガードマン」といった意味だが、
アメリカ社会を警備しているヒーローたちこそが「ウォッチメン」なわけだ。
しかし、ヒーローたちが何を悪と見なし、どう裁くかは
完全にヒーロー自身の判断に委ねられているわけで、
その基準が間違っていたり、ヒーロー自身の人格に問題がある場合、
一体誰が「ウォッチメン」をウォッチして(見張って)くれるのか、というのがテーマ。

今までヒーローと言えば、模範的な正義の人物という絶対の前提があったが、
この映画ではヒーローといえども普通の人間なのだ、ということが斬新。
特殊な能力を持っているというだけで全面的に信頼して
治安の管理を一個人の主観にまかせきってしまうというのは
ある意味、非常に危険であることを気付かせてくれる作品。

そして、ヒーロー独自の活動を禁止する条例が決まるところから物語は始まる。
時代はちょうど第二次大戦が終わり、アメリカとソ連が冷戦状態になっている時期。
核戦争の危険が迫り、各国の力のバランスが崩れれば
一気に世界が破滅する恐れのある時代。
そういった現実のアメリカ歴史の影にヒーローたちがいた、という展開で話が進み、
ヒーローという非現実的な設定が強烈なリアリティを持っている。

ヒーローたちはそれぞれ特徴を表した愛称で呼ばれ、
冒頭に一気に登場人物が出そろうので混乱するが、
常に変形する妙なマスクをかぶった「ロールシャッハ」、
スマイルマークのバッジを付けた「コメディアン」、
青く光り全知全能の力を持つ「Dr.マンハッタン」あたりをまず認識すべき。

どのヒーローも非常に深く描かれており、
それぞれの辛く厳しい境遇に胸を打たれる。
ヒーローたちはいずれも社会を守ることに力を注ぐのだが、
「守る」という目的にも個人個人の考え方が絡み、
ヒーロー同士で意見の衝突も生まれる。このあたりの展開も斬新。

全体で2時間半を超え、濃い内容と相まって
観終わった後はどっぷりと疲労感を味わうことになるが、
この見応えはなかなか味わえないだろう。

日本人にとってはアメリカの歴史や事件に馴染みが薄く、
作品内でベースになっている題材がわからず
本来の面白さを完全に味わえないのが残念。
作品をより楽しむために実在の事件を押さえるのもいいだろう。

アメリカの古い歌が挿入されたと思ったら
最新の映像技術で表現された演出で魅せられたりと
まさにこの時代だからこそ生まれた最高の映像化作品だと思う。

以前観た「ダークナイト」もこれまでのヒーロー観を覆す内容だったが、
本作はさらにその一段上を行く内容だった。とにかく素晴らしかった。

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