レビューブログ【レブログ!】

映画、アニメ、ドラマ、マンガ、書籍、英語読書の感想(ネタバレなし)が6000件以上!


人は2000連休を与えられるとどうなるのか?

知り合いの部屋を間借りし、
仕事もせずに悶々と暮らした日々を記録したもの。


狭い部屋にひたすら引きこもっていた毎日をまとめても
何も中身のない日記にしかならないのでは、という印象だったが、
興味を引く文章がうまくて退屈せずに読み進めることができた。


何もすることがない状態を活かして
いろいろなことを試してみたり
自問自答した思いが心情とともに記録されており、
これはこれで独自の体験記に仕上がっている。


「長い休みがあれば何をするか」というより
筆者の自問自答を記録したエッセイ。
ちょっとしたことをいろいろと掘り下げていくが、
筆者の考え方や感じた印象に
不思議と共感できる部分が多かった。

ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ

2017年頃におけるゲームソフトの企画や運営について
発生する作業や注意点などの解説と、
実際の市販ゲームの開発やプロモーションにおいて
開発者が意識したことや注力した点をまとめたもの。


インターネットやスマートフォンが普及し、
開発規模も大きくなった現代のゲーム制作において
収益面や消費者のプレイスタイルに合わせた
いろいろな事情が綺麗にまとめられているので
ゲーム業界の現状を把握する解説書として有益。


また、後半は
●ファンタシースターオンライン2
●ダービースタリオン マスターズ
●魔界戦記ディスガイア5
●CIRCLE of SAVIORS
●ソードアート・オンライン メモリー・デフラグ
●「ダンガンロンパ」シリーズ
●Strange Telephone
●GUILTY GEAR Xrd REV 2
といった市販ゲームの開発者自身が
その苦労や工夫を語っていて面白い。


あくまで特定の視点から見た情報ではあるし、
ゲーム業界の変化も激しいので
本書の内容が当てはまらなくなる場面もあるだろうが、
少なくともここ近年のゲーム開発事情を把握するには悪くない1冊。

いちばんやさしいアジャイル開発の教本

ソフトウェア開発手法のひとつであるアジャイル開発について、
その進め方や注意点を解説したもの。


従来のウォーターフォール型との比較や
アジャイル開発のメリットが説明されており、
これから始める人にもすでに始めている人にも参考になる。


ただ、カタカナ用語がかなり使われているので
筆者と共通認識を持っていないとよく意味がわからない部分や、
同じような話が何度も繰り返されて冗長に感じる部分がある。
淡々とした文章とレイアウト、解説内容の順序など
本の構成のせいで読みづらく感じるところも残念。


アジャイル開発について学びたい人が
予習としてザックリと知識をつけるための本。

立体イリュージョンの数理

実際の形を誤解させて見せる錯視(錯覚)が
どういう原理で起こっているのかを
数学の観点から解説したもの。


特に立体物に対する錯視に限定して
脳が誤認識する状態を図や数式で示していく。


第1章から第3章は数学の比重が大きく、
その方面に詳しくないと理解できないが、
第4章からは具体的な錯視を例に解説するので
数式部分を読み飛ばしても楽しめるようになっている。


以降も数学的理屈の濃度を変えながら
世の中で見られる錯視の仕組みが分析されているので
不思議に感じる現象の原理がわかって面白い。


座標や直線、ベクトルや行列に関する数式が頻出するので
そのあたりがわからないと内容が薄くなってしまうが、
錯視を数学的に解釈するというテーマは新鮮だった。

エンジニアリング組織論への招待

チームで成果を出していくための
さまざまな考え方や手法を紹介したもの。


組織をうまく動かしていくためのアイデアを
いろいろな情報源から寄せ集めた印象で、
広く浅い知識をざっと学ぶための本。
ソフトウェア開発に関する用語がたびたび登場するので
そのあたりに詳しくないと理解しにくい部分もある。


全体的に淡々と理屈を紹介する印象で
順番を無視して部分的に読んでも問題がない造りだが、
その分、読んでいても没入感の低い内容。
また、たまに出てくる図やグラフがやたらとわかりにくいのは残念。


ところどころに有益な情報はあるが、
1冊まるまる読むには効率が悪い書籍だった。

メタバースとは何か -ネット上の「もう一つの世界」-

2021年に話題になったメタバースについて、
その現状や期待などをまとめたもの。


「メタバース」と聞くとVRゴーグルなどを通して
仮想世界に入り込む様子を思い浮かべるが、
そういった特定のスタイルに限定せず
いろいろな可能性が書かれている。


ただ、まだ黎明期で明確な方向性が見えないためか、
全体的に筆者が期待することや想像の話が中心で、
具体的な実例や課題などを読み取ることができず、
どうにもフワフワした内容に感じた。


話題性に乗って早めに出版したかったのかもしれないが、
中身が薄すぎて読者にとって価値のある情報が少ない。
ぼんやりと思い浮かべていたメタバースのイメージが
もっと具体的になるかと思って読んでみたが、
残念ながら読む前と特に変化がなかった。

5分間リアル脱出ゲーム シールブックアドベンチャー

短いエピソードとともに作られたパズルを
巻末に付属しているシールを貼りながら解いていくもの。


1つあたり10~15分ほどの謎解きが9個収録されており、
各エピソードとも少し頭を悩ませるひねりが効いていて
リアル脱出ゲームに似た爽快感がある。
それぞれシールをうまく使った問題になっており、
最初に提示された内容が変化していくのが楽しい。


そして最後に用意された大謎は
いろいろと凝った造りが経験できて面白かった。
シンプルで理解しやすいルールばかりなのに
同じものが違って活かされる設計は素晴らしい。


ただ、各章のLast Answerが正しいかどうかは
最後のエピソードに着手するまでわからないので、
正解できているかが途中で確認できず、
文字数と雰囲気で判断するしかないのは残念。


また、1度貼ったシールを剥がす場面があるので
せっかく綺麗に貼ったのに崩れてしまうなど、
デリケートな作業を強いられるのは辛かった。


難易度はそこまで高くないしヒントも充実しているので
謎解きの初心者でも醍醐味を味わうことができる1冊。


【関連作品のレビュー】
5分間リアル脱出ゲーム Disneyシールブックアドベンチャー
5分間リアル脱出ゲーム
5分間リアル脱出ゲーム Disneyマジカル・エスケープ・ブック

読者ハ読ムナ(笑) -いかにして藤田和日郎の新人アシスタントが漫画家になったか-

うしおととら」や「からくりサーカス」といった
ヒット作を生み出した藤田和日郎が
成果を出すためにアシスタントに指示している内容をまとめたもの。


マンガを描き方は知っているものの
仕事への取り組み方に慣れていない新人アシスタントに
藤田和日郎と編集者が交互に語りかける形で書かれていて、
新人漫画家の言動を想像しながらサクサク読むことができる。


評価される創作物を生み出すための心掛けや注意点、
考えるべき事柄についてかなりリアルにアドバイスされており、
独りよがりになりがちな創作物について
消費者を意識する大切さを再認識できる。


マンガに限らず、何かしらの創作活動をしている人なら
正しい姿勢を身につけるためにも一読して欲しい内容。


【関連作品のレビュー】
うしおととら(マンガ)
うしおととら 外伝(マンガ)
からくりサーカス(マンガ)
藤田和日郎短編集 夜の歌(マンガ)
からくりサーカス(アニメ)

だから僕たちは、組織を変えていける

だから僕たちは、組織を変えていける

だから僕たちは、組織を変えていける

  • 作者:斎藤徹
  • クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
Amazon

組織として高い成果を出していくには
どのような環境や対応が必要かを解説したもの。


筆者の知識や意見を述べたものではなく、
いろいろな資料から寄せ集めたものなので
著名で有益な情報の要約を知ることができるものの、
緩急の弱い文章で同じような論調が続くので
内容が頭に入ってきにくいのは残念。


また、イメージしにくいカタカナ用語が使われていたり、
字が小さすぎたり、挿絵がやたらとわかりにくかったりと
本としても妙に読みにくかった。


紹介されている中にいくつか参考になる理論があるので
そういった方面を詳しく調べてみるきっかけにはなったが、
300ページほどのボリュームを考えると中身が薄い印象。


チームマネジメントに関する情報について
ざっくりと幅広く知りたい人向け。

岩田さん:岩田聡はこんなことを話していた。

HAL研究所を経て任天堂の社長を務めた岩田聡
生前に語ったいろいろな内容をまとめたもの。


岩田氏は本を書くことに前向きでなかったということだが、
インタビューや対談企画で語られた内容が
非常にうまく再構成されているので
岩田氏自身が書いたような読み心地になっている。


「星のカービィ」シリーズや
「MOTHER2」などのヒット作を世に送り出し、
ニンテンドーDSやWiiといった変わり種のゲーム機で
大きなブームを巻き起こした岩田氏が持つ
持論や仕事への取り組み方が読み取れて面白い。


ところどころで挿入される「岩田さんのことばのかけら。」のページが
画像として掲載されているために、文字サイズが変えられないなど
電子書籍として不便な仕様になっているのは残念。


1990年から2010年ぐらいまでに話題になった
任天堂ブランドのゲーム機やゲームソフトを知っている方が望ましいが、
岩田氏の優しい人柄とともに、クリエイターとしてのポリシーや
チームを大切に考える姿勢に触れることができる1冊。


mclover.hateblo.jp

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