レビューブログ【レブログ!】

映画、アニメ、ドラマ、マンガ、書籍、英語読書の感想(ネタバレなし)が6000件以上!


ジェイソン流お金の稼ぎ方

芸人としての活動をしつつIT企業にも勤める厚切りジェイソン
より多くの収入を得ていくための心がけや経験談をまとめたもの。


前作はマネーリテラシーや投資の基本に関する内容だったが、
今作は自己啓発に近い内容で、いかに自分の希少性を高めて
人材価値を上げていくかという視点で書かれている。
そのため、資産運用に関する続刊と考えるよりも
ジャンルの違う本を新たに書いた、と受け止める方がよい。


そういう意味では「必要とされる社会人になるための31の決意」や
将来に悩む学生に伝えたい55のアドバイス」と同様のコンセプトで、
社会人が意識すべきポイントが凝縮されている。


筆者の非常に論理的な考え方と
卓越した行動力を感じる経験談は刺激的で、
読んでいる方までエネルギーが伝わってくる印象。


ビジネス書を読んだ経験が少ない人のための入門書。


【関連作品のレビュー】
ジェイソン流お金の増やし方
日本のみなさんにお伝えしたい48のWhy

子どもの算数、なんでそうなる?

4歳あたりから小学校低学年ぐらいまでの子供が
数の扱いや算数に対して起こすいろいろな勘違いについて
その理由や視点を分析したもの。


間違った答えを単に正すのではなく、
その間違いに行き着いた発想に着目し、
どういう誤解をしたことが原因かを推理していくのが面白い。
子供は子供なりにいろいろ考えていることがわかるし、
ある部分でつじつまが合っている誤答なのだと感心する。


また、数学者である筆者が間違いの理由を解説する中で
大人が漠然ととらえていた定義が
きちんと言語化されて納得に変わっていくところもポイント。
問題の答えそのものはわかっていても
どういう法則や考え方なのかが知れて勉強になる。


問題を間違えたときに学習意欲を保ったまま
正しい考え方を定着させる指導法も学べる1冊。

無敵の「1日1食」 疲れ知らずで頭が冴える!

数多くの音楽を作曲した三枝成彰
1日1食の生活スタイルで得られたメリットをまとめたもの。


食事の回数を減らす健康法について書かれているが、
いろいろな理屈や学説を提示する他の書籍とは異なり、
自分の経験談や実感を根拠にしているところが特徴。
そのため対談の中で語られている内容も含めて
どの程度信憑性があるのかがわからない。


実際に1日1食生活を励行している立場からしても
微妙に疑問視したくなる理屈もあったので
あくまで筆者の価値観を共有するための本と割り切った方がよい。


【関連作品のレビュー】
「空腹」こそ最強のクスリ


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適当日記

適当日記

適当日記

Amazon

タレントの高田純次が日々の出来事を
とりとめなく書きつづったもの。


「適当」のタイトル通り、文字数もバラバラに
本当に好き勝手に書かれた内容ばかりで
高田純次のノリがそのまま文章に表れている。
面白いポイントが大きな太字にした編集はやや残念で、
読者が判断する前に笑う場所を指定されているようで
読んでて少し冷めてしまう。


芸能人のブログ程度に薄い内容なので
高田純次の芸風が理解できる人向け。


【関連作品のレビュー】
アメトーークDVD<Vol.2>

イヌはなぜ愛してくれるのか 「最良の友」の科学

ペットの中でも強い人気を誇る犬について
なぜ人間と良好な関係を築けるのかを
さまざまな実験を通して検証したもの。


人間に懐くという犬の特徴が先天性なものか後天性なものか、
また他の動物ではどうなのかなどを
かなり真面目に細かく調べた報告が集まっており、
その題材だけで350ページものボリュームになっている。


仮説や検証方法が論理的で面白く、
犬のさまざまな行動原理がわかって好奇心が刺激される。
また、その文章から伝わってくる犬の様子が愛らしいし、
筆者が本当に犬が好きなこともよくわかる。


犬の特性を深く知ることができる1冊。


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人間椅子

江戸川乱歩の代表作のひとつで、
外交官の妻に椅子職人からの奇妙な手紙が届く話。


ほぼ全編が手紙の文面で構成されており、
送り主である椅子職人の独白で完結する短編だが、
非常に丁寧で紳士的な口調を通して
いろいろな情景が浮かんでくるとともに
彼の変態的な嗜好が伝わってくるところにゾクゾクする。


椅子に座って手紙を読んでいるだけの話で
恐怖感やフェティシズム、刺激的なオチなど
いろいろな味わいがあって満足度が高かった。

東大なんか入らなきゃよかった 誰も教えてくれなかった不都合な話

国内の最難関大学として知られる東京大学だが、
その学生生活や学歴に満足せず、
後悔している元東大生の思いを集めたもの。


タイトルを見る限り、東大に入学した後悔を書いた本かと思ったが、
第1章・第2章については学内のシステムや学生生活、
学生の特徴などを読むことができて参考になった。


ただ、第3章以降はひどい内容で読むに堪えない。


第3章に書かれているエピソードは本人がやたらネガティブで
成果を出せなかったことへの愚痴ばかり。
東大に入学した後に遊びほうけ、
適当に選んだ大手銀行という就職先に不満を言うのは
自己責任以外のなにものでもないだろう。


第4章は官僚の仕事内容に対する不満であって、
東大とは直接関係がない。
「官僚になりたがる東大出身者が減っている」だけで済む話だし、
官僚という立場がイマイチだからといって
東大に行かなければよかったという理屈は無茶だろう。


第6章の大学院生はセオリー通りに留学をせず、
かといって指導教官にアドバイスを請うこともしない。
そんな努力不足や実力不足で成果が上がらなかった恨みを
博士課程に合格させた先生にぶつけるのはおかしい。
2年目の終わりに論文の雑誌投稿につまづいて
そこから5年目まで迷走していたというのはひどい。


第7章の元東大生は廃寮が通告された寮に居座り、
自堕落な生活を送った上で就職活動もせず、
売れない漫画家を続けて健康保険料すら未払いなど
もはやどの大学か関係ないほどの落ちこぼれぶり。


東大の価値を判断するにはサンプルが少なすぎる上に
どの卒業生も自分の不幸を外的要因のせいだと考えており、
読んだところで得られるものが何もない本だった。

得する説明 損する説明 できる人の話し方、その見逃せない法則

社内会議や顧客に対する営業などで
自分の発言を聞き手に納得させるためのポイントを解説したもの。


いろいろな相手への説明経験を持つコンサルタントだけあって、
どういう表現をすると説得力が出るか
聞き手がスムーズに受け取ってくれるかという
ツボが抑えられており、納得できる内容ばかり。


ただ、損する説明と得する説明の比較ページについては
大部分が同じ内容なので、異なるフレーズだけ着色するなど
注目すべき部分を強調した方がわかりやすかった印象。


全部で40のポイントがコンパクトにまとめられており、
読書慣れしていない人でも短時間でサクサク読めるので、
プレゼンテーションや会議、面接などの対策として
目を通しておくと一段階成長できるだろう。

ゲームデザインプロフェッショナル 誰もが成果を生み出せる、「FGO」クリエイターの仕事術

スクウェア・エニックスやディライトワークスといった
人気ゲーム会社での開発経験を持つ筆者が、
面白いゲームを作り上げていくために
企画設計にどう取り組んでいくべきかを解説したもの。


ゲームのルールや設定、世界観やキャラクターなどを決め、
作品に対して大きな影響を与えるゲームデザイナーや
プランナー、ディレクターといった立場の人間が
どういう考え方と視点で判断すべきかがまとめられている。


実際に作業をするのはプログラマーやデザイナーだが、
その前段階でどう仕様を煮詰めていくか、
彼らにどのように指示を出すかという部分が語られており、
趣味で創作活動をしている場合ではなく
仕事として成果を上げる視点に非常に納得できる。


企画部分を担当する関係で抽象的な説明も多いが、
感覚で作ってしまいそうな部分をきちんと言語化されており、
ゲームを面白くすることについて
センスではなく理屈として書かれていて参考になる。


また、チャプターが短く分けられているので
本としてサクサク読めるようになっており、
ゲーム業界を目指す学生にも薦めやすい内容。


外すことが許されないビジネスの現場を通して練られた
ゲームデザインで失敗しないためのマニュアル。


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誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ潰した男たち

大量の音楽が簡単に手に入るようになった現状に至るまで
どういう経緯があったのかをまとめた記録。


CDの全盛期から始まってMP3形式の開発と普及、
ネット上で共有される違法データの流通など、
1990年代から2010年あたりまでの音楽業界の内容が
それぞれの関係者の視点から語られており、
単なる歴史書とは違った生々しさがある。


アメリカ市場を舞台にしていることと
いろいろな専門用語と人名が出てくるので
当時話題になった様子を知っている方が理解しやすいが、
ある場所で始まった技術や行動が
ジワジワと一般市民の生活に影響してくる様子が面白い。


読み応えはチャプターによって差があり、
発売前のCDを流出させる過程や
世の中に違法データを共有する手段の構築などは
犯罪の手口が細かく読み取れて刺激を感じる。
よくここまで詳細を明らかにしたものだと感心する。


翻訳本独特の読みにくさはあるが、
音楽業界の変化に興味があるなら読んでみてもいいだろう。

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